白菜の浅漬、梅干し、キムチ、福神漬…漬物には沢山の種類がありますが、いまの日本で日常的に自分から漬物を召し上がっている方はあまり多くはないのでしょうか。古くさいイメージがあるかもしれませんが、伝統的に食べられてきた、沢山のよいところがある食べものなのです。
◆日本の伝統的な保存食
「塩で漬ける」というのは食品を保存するために編み出された方法ですが、海に面していた日本でも、古くからこの工夫がなされてきました。歴史的な記録としては、八世紀ごろの木簡に瓜や青菜などの塩漬について書かれているものが最も古いものと言われています。最初は塩漬のみでしたが、時代と共に醤油漬や味噌漬、たくあんや梅干しといった製法が確立されてきました。
◆さまざまな漬物
江戸時代になると野菜の種類も多くなり、単純に野菜の貯蔵目的ではなく、風味をつけておいしく食べるための浅漬や当座漬けなどが生まれました。江戸末期の漬物のレシピ本である、「四季漬物塩嘉言」にはなんと66種類もの漬物の作り方が掲載されているんです。
戦後になって日本の家庭環境が変わり、自分の家で漬物をつくる文化は段々と失われていきました。また冷蔵庫の普及で生野菜を食べることが増え、物流網が発達して年中野菜を手に入れられるようになってきたため、今はサラダ感覚で食べられる浅漬や、キムチなどが多く食べられています。
◆漬物の栄養成分
塩を使っているので、体に悪いのではないか? と思われがちな漬物ですが、じつは漬けることによるメリットもあります。塩によって野菜の水分を抜き、保存性を高めて味をつけるのですが、生野菜よりもかさが減って野菜のうま味も凝縮され、沢山の量を食べることができます。加熱で壊れてしまうビタミンCなども残りやすく、食物繊維やミネラル類なども摂取できると考えられます。
昔から、日本人の生活のそばにあった漬物。まさに、「日本古来のサラダ」と呼べるのではないでしょうか。