古くから日本人に愛されている「梅干し」には、長い歴史と文化があります。梅の木は中国の湖北省、四川省の高地が原産地で、日本へは約1500年前に伝わったといわれています。渡来した梅は「烏梅(うばい)」というもので、未熟な梅を釜戸の煙で黒く燻した燻製のことを指します。烏梅は現代でも漢方薬として扱われているほど薬効が高いというのが特徴で、当時は腫れ物の手当てや熱冷ましなどに用いられていたようです。
奈良時代になると、梅は桃や梨、あんず、柿などと同様に「生菓子」に加工して食べられるようになりました。平安時代では、日本最古の医学書「医心方」に梅干しの効用について記載されていることから、この頃にはすでに梅干しとして存在していたことがわかります。
戦国時代に入ると、栄養価の高い梅干しは戦場で摂取されるようになり野戦糧食としても重宝されました。
実際に梅干しが庶民の食べ物として広まったのは江戸時代で、現在の日本と同じように食卓で楽しまれるようになったそうです。
日本の代表的な梅の産地は「和歌山県」です。和歌山県の梅の収穫量は全国の約5割以上を占め、国内トップの収穫量を誇っています。梅栽培の始まりとしては、江戸時代、紀州藩田辺領下において免租地となるやせ地に農民が梅を栽培したことがきっかけだといわれています。梅の栽培が急増したのは明治40年以降で、日清・日露戦争の軍用食として梅干しの需要が高まったことが要因となっています。その後の第二次世界大戦では、梅の木が伐採され、サツマイモ栽培が盛んになった影響で一時的に梅の栽培が減少したものの、戦後の社会経済の復興と共に梅栽培も急増していきました。
日本に存在する梅の品種は約300種以上といわれていますが、その中でも花の観賞を目的とする「花梅(はなうめ)」と実の採取を目的とした「実梅(みうめ)」に大きく分けられます。これらは実用目的によって分類されたものなので、花も実もどちらも楽しむことができる種類も多くあります。
【花梅】
◆野梅系(やばいけい)
中国から渡来した最も原種に近い梅の品種で、花梅の過半数がこの野梅系だといわれています。花や葉が小さく、枝も細いことが特徴としてあげられます。また、香りがとても良いという一面があります。
◆緋梅系(ひばいけい)
緋梅系は野梅系から変化した梅の品種で、枝や幹の内部、花が紅いというのが特徴です。葉が小さく、盆栽や庭木にも使用されることが多い種類です。野梅系と同様に、香りが良いものが多いというのも特徴です。
◆豊後系(ぶんごけい)
豊後系はあんずとの交配によって生まれた種類で、枝がやや太く、花や葉は大きい「豊後性(ぶんごしょう)」と枝が細く葉が小さい「杏性(あんずしょう)」の2種類に分けられます。香りは野梅系や緋梅系よりも少ないというのが特徴です。
【実梅】
◆南高(なんこう)
和歌山県の代表的な品種で、果実が大粒で肉厚というのが特徴です。皮がうすく柔らかいため、梅干しに向いている品種でもあります。梅の高級ブランドとしても有名な種類です。開花時期は2月~3月、収穫時期は6月~7月です。
◆古城(ごじろ)
古城も南高と同じく和歌山県が原産の梅で、皮がしっかりとし実が崩れにくいということから梅酒に向いている品種としても有名です。開花時期は3月~4月、収穫時期は5月下旬~6月初旬です。
◆玉梅(たまうめ)
玉梅は、実梅としても花梅としても楽しめるという特徴をもつ梅の品種のひとつです。果実は南高よりも小ぶりですが大粒に分類されおり、梅干しにも梅酒にも適している種類の梅です。開花時期は3月上旬、収穫時期は6月上旬頃です。
◆白加賀(しろかが/しらかが)
白加賀は江戸時代から存在する歴史ある実梅です。果実は肉厚で大粒というのが特徴で、花も美しく、香りも良いことから観賞用としても親しまれています。果実は梅酒にも梅干しにも適しており、どちらも人気がある種類のひとつです。開花の時期は3月上旬~下旬、収穫時期は6月頃です。
◆豊後(ぶんご)
豊後は大分県が原産の品種で、実梅のなかでも特に果実が大きいというのが特徴です。果実は梅酒やカリカリ梅などに適しており、多くの人に親しまれている種類でもあります。開花時期は2月中旬~3月上旬、収穫時期は6月~7月頃です。
◆鶯宿(おうしゅく)
鶯宿は南北朝時代から存在する歴史の長い実梅で、徳島県が生産地として有名な品種です。果実は果肉が硬いことから梅酒や梅のジュースに適しているとされています。開花時期は3月下旬、収穫時期は6月~7月です。
◆月世界(げっせかい)
月世界は徳島県が原産の梅で、比較的新しい品種です。月世界という名前は1969年にアポロ11号が月着陸をしたことにちなんで命名されたようです。果実は、平均的な大きさで梅酒にされることが多い種類の梅となっています。開花時期は2月中旬~3月上旬頃、収穫時期は5月下旬頃です。
◆甲州最小(こうしゅうさいしょう)
甲州最小は梅の中でも小粒な梅として代表的な品種で、その大きさは平均5グラム程度といわれています。果実が小さく、実も硬いことからカリカリ梅として使用されることが多いようです。開花時期は2月~3月、収穫時期は5月~6月頃です。
八幡屋では、最高級の紀州南高梅を販売しています。製法にこだわって漬け上げられた梅の香り、奥深い味わいをぜひご堪能下さい。
白干し梅とは、製法にこだわり塩だけで漬けた酸っぱい梅干しのことを指します。八幡屋の「白干し梅ぼし」は最高級の紀州南高梅を使用し、天日干しで仕上げました。シンプルな原材料だからこそ、梅本来の味や香りを楽しむことができます。しょっぱくて酸っぱい、おばあちゃんの家で食べたような懐かしい味わいの梅干しです。
[400g] 税込み 2,150円(左)
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最高級の紀州南高梅を国産赤紫蘇と一緒に漬け込んだ「紫蘇漬け梅ぼし」です。国産の赤紫蘇はさわやかな香りが特徴で、丁寧に漬け込むことで鮮やかな紅色に仕上げています。
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ご飯のお供として馴染みの深い梅干しですが、お料理に活用しても美味しく召し上がっていただけます。
今回は、梅干しを使った八幡屋おすすめのアレンジレシピをご紹介いたします。
秋が旬のさんまに梅干しを合わせた「さんまの梅煮」です。さんまは塩焼きやお刺身としても美味しく召し上がっていただけますが、梅干しを加えることでまた一風変わった味わいが楽しめます。お好みで生姜をトッピングしてみてください。
ねばねばの長芋とオクラを使用した、さっぱりとした梅干しの和え物です。夏の疲れた体や食欲のない日にもってこいの一品です。普段の副菜やおつまみとしてもおすすめです。
夏の熱中症対策としてもおすすめの「梅サイダー」です。はちみつとレモンを加えることで、子供でも飲みやすい、酸味のある甘じょっぱい味わいに仕上がります。
本サイトのレシピページでは、今回紹介したアレンジメニューの作り方を詳しく掲載しています。
梅干しだけでなく、八幡屋の商品を使った様々なレシピを紹介しているので、ぜひご覧くださいませ。